第1回 中国消費市場を理解するための3つの視点

2015年03月30日
事業予測情報センター 劉 瀟瀟

中国と日本は同じ東アジア圏に属し、同じ漢字文化圏にも属するなど、文化・風俗習慣の似ている面がある。しかし、中国が経済発展を事実上開始したのは1978年の「改革開放」以降であり、日本と社会環境には違う面も多い。ここでは特に中国消費市場を理解するための3つの視点として、伝統思想、世代格差、安全性への不信感について取り上げたい。

隣同士である日本と中国は、歴史的にみて非常に長い付き合いがある。東アジア圏の地理・気候の類似はもちろん、漢字文化圏に含まれているため、文化・風俗習慣ないし考え方も似ているであろう。従って、ビジネス上にも、日本で成功したプロセスをコピーし、中国で貼り付けたら同じく成功できるかと思っている人も多いに違いない。

しかし、本当にそうだろうか。

中国は清朝後期の半植民地に陥ってから1949年中華人民共和国の設立まで、長い戦乱時期があった。中華人民共和国が設立したものの、反右運動、整風運動ないし文化大革命まで、政治の整備に巨大な時間とエネルギーをかけてきた。ようやく1978年三中全会にて「改革開放」の方針が提出され、やっと経済発展のモードに切り替えたることができたが、数十年間、物資が欠乏していた人たちは、急激に豊かになったことに対し、心構えも教養も追いつけていないのが実情である。

そのため、現代日本と中国の社会環境は違うことも多い。中国市場に進出する際、中国の消費市場の特徴を十分把握していくことが必要だが、とくに次の3点が重要と考えられる。

第1は、根強い伝統思想である。

5000年以上の歴史を持つ中国は、昔から伝わっている考え方や知識が中国人の日常生活に非常に浸透している。一番典型的な例は、漢方養生である。

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